採用市場はかつてないほど競争が激化しています。学生は企業を選ぶ際、給与や待遇だけでなく、企業のブランドイメージ、社風、働く人の雰囲気まで多角的に比較するようになりました。
その結果、ブランド力のある企業だけが、学生の選択肢に残る時代になっています。単発的な採用広報では学生の記憶に残らず、母集団形成や応募率に大きな差が出てしまうのです。
ここで注目されるのが、大学キャンパスメディアです。キャンパス内で長期にわたり接触する広告は、学生の心に無意識に企業名を刷り込み、採用ブランディングを可能にします。本記事では、大学内広告を活用した採用ブランディングの意義と、1年間の継続出稿を前提とした戦略について解説します。
■採用活動に“ブランド力”が必須になった理由
近年の採用市場で、企業ブランドが不可欠になった理由は、学生の企業選択の複雑化にあります。
1.学生が企業を比較する軸が多様化
給与や福利厚生に加え、学生は次のような軸で企業を評価します。
事業領域の将来性
社員の働き方・雰囲気
社会貢献やSDGsへの取り組み
キャリアパスの幅
企業文化や価値観の共感度
このように比較軸が多様化する中で、知名度やブランドイメージが低い企業は、比較対象にすら入らないケースが増えています。
2.認知の低い企業はそもそも候補に入らない
学生は情報が膨大な中で、効率的に企業を選別します。その結果、知名度やブランド力が弱い企業は「存在を知らない企業」としてスクリーニングされやすいのです。
ここで大学キャンパスメディアは、学生が日常的に目にする場所に企業情報を置くことで、認知の土台をつくる役割を果たします。
3.“知っている企業しか受けない”傾向の強まり
SNSや口コミの情報流通が加速した現代では、学生は「知っている企業」からしか応募しない傾向が顕著です。
逆に言えば、学生が企業名を目にする回数を増やすだけで、応募の可能性は大幅に高まるのです。
■大学内広告がブランド認知をつくるメディアである理由
大学広告は、他の採用メディアにはない独自のブランド形成力を持っています。
1.入学→卒業までの長期間接触
学生は大学生活の約4年間で、同じキャンパスメディアに何度も接触します。
食堂やラウンジで繰り返し目にするポスター
授業間の移動中に自然と視界に入るサイネージ
こうした長期間・高頻度の接触が、企業名の記憶を定着させます。
2.生活動線に溶け込む「無意識接触」
大学広告は、学生の生活動線に自然に組み込まれています。
そのため、学生は「広告として意識せずに目にする」ことが多く、無意識のブランド浸透が起こります。
これは、ネット広告やメール配信では得られない大学広告特有の強みです。
3.就活期前に記憶を形成しやすい環境
特に1~3年生の早期接触は重要です。
就活本格化前に企業名を刷り込むことで、「記憶に残る企業」としてポジショニングされる
3年生の秋口からの比較検討時に優位性を発揮する
この事前認知が、採用活動の効率化に直結します。
■大学キャンパスメディア×採用ブランディングの成功事例
ア)地方企業の首都圏大学出稿
地方に拠点がある中小企業が首都圏大学に継続出稿。
学生アンケートでは「知っている/話題になった企業」の上位にランクイン。説明会予約率が前年の2倍に。
イ)BtoB企業の認知向上
社名認知が低かったBtoB企業が、1年間キャンパスメディアで出稿。
SNS検索・企業サイト流入が増加し、早期のインターン応募者数が増加。
ウ)年間通した浸透型戦略
季節ごとのクリエイティブ更新(春:新歓、夏:インターン、秋:会社説明会)
結果、学生が自然と企業名を思い出す“刷り込み効果”を獲得。
■長期的に企業名を刷り込むためのメディア戦略
大学広告でブランドを形成するには、単発ではなく年間を通した戦略的出稿が必要です。
1.他メディアとの統合設計(SNS・採用サイト)
キャンパスメディアで刷り込んだ企業名を、SNSや採用サイトで補強。
キャンパスでQRコードを見せる → SNSフォロー
広告を見た学生が採用サイトにアクセス → 詳細情報取得
このようにオンラインとオフラインの連動が、長期的記憶の定着に有効です。
2.ブランドの“方向性”が定まっていない場合
ブランド方針が不明確だと、広告接触が単なる“名前知り”で終わってしまいます。
企業の価値観・強み・事業分野を明確化
学生に伝わる“核メッセージ”を整理
これにより、広告を見た学生が企業を正しく理解できるようになります。
3.誤解されやすい職種の訴求課題
職種や業務内容が複雑な場合、キャンパスメディアで短時間に伝えるのは難しい。
視覚で理解できる図解やアイコンを活用
「○○が担当する仕事」と具体例を出す
こうした工夫で、誤解されるリスクを減らせます。
4.成長産業・専門職の強い訴求効果
新規事業・成長産業・専門性の高い職種は、学生にとって魅力的な訴求ポイント。
キャンパスメディアで継続的に露出することで、「この分野の企業」と学生の記憶に結びつく効果があります。
5.学生の価値観と相性が良い業種
環境、社会貢献、デジタル領域など、学生の関心が高いテーマで出稿すると、
自然な興味関心
将来の進路選択の候補入り
につながります。1年間の出稿で接触回数を増やすと、ブランド認知が強固になります。
■ブランド構築を成功させる社内体制づくり
長期的な採用ブランディングを実現するには、社内体制も不可欠です。
1.採用・広報・経営の連携
採用担当:学生の動向や応募状況を把握
広報担当:メッセージやクリエイティブの統一
経営層:ブランド方向性の決定
これらが連携することで、広告・SNS・採用サイトのメッセージが統合され、学生の記憶に残るブランド構築が可能になります。
■まとめ
大学キャンパスメディアは、長期的なブランド記憶を学生に刷り込むための最適な広告手段です。単発の広告出稿では効果が限定的ですが、年間を通した継続出稿によって、学生の意識の中で企業名を定着させることができます。
学生の比較検討フェーズに先んじて企業名を認知させる
生活動線に自然に組み込む無意識接触で記憶を形成
SNSや採用サイトと連動した統合メディア戦略
社内体制の整備でブランド方向性を統一
これらを実践することで、採用活動の効率化・応募者質の向上・母集団形成の強化が可能となります。
1年間の戦略的な大学広告出稿は、単なる情報伝達ではなく、学生の記憶に残る“企業ブランドの定着施策”として位置付けることが重要です。
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